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「食を次世代につなぐこと」を学んだ、神領小学校・広野小学校5年生の稲刈り
10月7日(月)、神領小学校・広野小学校の5年生が合同で稲刈りを行いました。6月に、手作業と機械の両方で植えたもち米。あれから4ヶ月が経って、田んぼ一面が黄金色に。今回も、手作業と機械の両方で稲刈りを体験します!
まずは手作業で刈り取り。来年の5年生のために「種もみ」を残そう!
午前9:00。田んぼに5年生たちが集まりました。今日のファームティーチャーは、白桃農園の白桃薫さんと、父の茂さんです。薫さんからさっそく稲刈りのレクチャーが始まります。
「今日は、みんなが植えたもち米を収穫します! まずは昔ながらの手作業での刈り取りをやってもらいます。刈り取った束は、向きを揃えて後ろに並べていってください。何束かまとめて刈って置くと、効率的に進められます」と薫さん。
一人一つずつ鎌を持ったら、さっそく稲刈りをスタート!
「もっと早くやろう!」と夢中になるあまり、鎌を入れる位置がバラバラになったり、放り投げるように稲を置いたりする子どもの姿も。このあと、自分たちで束を抱えてコンバインに運ぶため、稲の長さや向きがバラバラだと自分たちが大変な思いをすることになります。先々の作業を見越して、自分も他の人も持ちやすいように置いておく。そんな想像力も大切です。「集中して丁寧にやってみよう!」と樋口が声をかけます。
グングンと刈り取っていく子どもたち。最初から勢いが良すぎたのか、途中から「先生代わって〜」との声が聞こえ始めます。汗もびっしょり。手作業での稲刈りはエネルギーをたくさん使います。「どうだった?」と声をかけると、「手がパンパン」「楽しいけど、もう汗だく!」と息を切らしながら返事がかえってきました。でも、ザクザクと刈り取るのは楽しいようで、少し休んだらすぐに立ち上がっていました。
ある程度刈り終えたところで、来年用の「種もみ」を確保します。毎年、もち米の栽培・収穫を勉強するのは小学5年生。来年の5年生、つまり今の4年生たちがおいしいもち米を食べられるように、よく育ったものを選り分けて保管しておきます。このように、次世代の食に責任を持ってつなぐことも、神山町の食農プログラムの特筆すべきポイントです。
薫さんから、状態の良い種もみの見分け方を教わります。「実がしっかり詰まっていて、黄金色のものを選んで刈り取ってくださいね。白くなっているものはカメムシが吸ったり、病気になったりしているものです」。
それぞれ子どもたちは自分が綺麗だと思う3束を見分けて刈り取ります。
初めて乗るコンバインに興味津々! 農業と機械の関係を学ぶ
後半では、コンバインを使った刈り取りを体験! まずは薫さんからコンバインについて説明がありました。
「私たちは、普段は機械を使って稲刈りをしています。このコンバインは3列分を刈れるので、みんなが3人でやっていたところを1人分の力で、しかももっと早いスピードで収穫します。この田んぼだと5分もかかりません。コンバインは稲刈り・脱穀・選別を一気にできるのもポイントです。稲作は機械をたくさん使う農業でもあるんですよ」と、コンバインの構造を見せながら教えてくれました。
「ここまでで質問はある?」と薫さんが問いかけると「とりあえず乗ってみたいです!」と元気な声が。「そうやな、百聞は一見にしかず、乗ってみようか」と笑う薫さん。稲刈りの疲れは、コンバインをみて吹き飛んだ様子。それではさっそく乗ってみます!
薫さんに隣についてもらいながら、恐る恐るコンバインを操作する子どもたち。降りてきた子どもたちはなんだか清々しい表情。「思ったより簡単だった!」「これで誰でも稲刈りできるな」と口々に話していました。
全員がコンバインを体験したあとは、茂さんが全ての稲をサッと刈り取りました。早い! 子どもたちが乗っていたときの3倍くらいのスピードでどんどんと刈り取られていきます。
すべて刈り終え、コンバインから袋に入れ替える瞬間、子どもたちは「うわ〜!!」と歓声を上げていました。
今日収穫したもち米はどうなるのでしょうか。薫さんから解説がありました。
「もち米は、そのまま置いておくと、4日間くらいで発酵してしまって食べられなくなってしまいます。水分が多いからです。
なので、発酵しないように乾燥させます。そうすると、1年くらいは貯蔵できるようになります。この工程があるから、みんなは1年中お米が食べられるんです」とのこと。
これにて、一連の稲刈りの工程は完了です。子どもたちに今日の感想を聞くと「あんなに小さかった苗が太くなっていて成長を感じた」「思ったよりも株が大きくて切るのが大変だった」など、自分たちで田植えした小さな苗がここまで大きくなっていることを肌で感じた様子。
最後に、茂さんからお米作りについて補足がありました。
「お米は些細なことで収穫高が変わるほど繊細です。例えば、稲の花が咲く時期に花が擦れてしまったら実がならなくなってしまったり、台風で倒れてしまったらダメになってしまう。だから、農家は早生(わせ)や晩生(おくて)といって、田植えや収穫の時期をずらして、お米がちゃんと確保できるように工夫しています」。
ちなみに、このお米は神山町の給食で全学年の子どもたちが食べます! 自分たちで育てたもち米はどんな味がするのでしょう? 子どもたちの感想を心待ちに、この日はお開きになりました。
髙木晴香(文・写真)