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みんなで収穫したもち米を食べた神領小学校5年生の給食
2024年11月8日(金)。この日の、神山町内の小・中学校の給食は「中華おこわ・焼きぎょうざ・中華コーンスープ」でした。「中華おこわ」に使われたのは、神領小、広野小の5年生が収穫したもち米! 自分たちで田植えをし、収穫をしたもち米はどんな味がするのでしょう? 神領小学校の5年生が食べる様子を覗いてきました。
待ちに待った、収穫したもち米を食べられる日!
12:10に授業のチャイムが鳴り、給食の時間がやってきました。給食当番の子どもたちが勢いよく教室を出て、給食を受け取りに玄関にやってきます。すると、校内放送が聞こえてきました。
「今日の給食は中華おこわです。皆さん、おこわの語源は知っていますか? 昔はもち米は高価だったことからご馳走とされ、『こわ飯(強飯)』と呼ばれていたんです。それまで主食のご飯はお粥にして食べられていたので、もち米のような硬いご飯をおこわ(御強)と呼び区別していました。
ちなみに、材料のもち米は5年生が作ったものです。よく味わって食べてください」。
放送が終わる頃に配膳がスタート。缶を開けるとつやつやのおこわが。「うわ〜!おいしそう!」と子どもたちが駆け寄ります。楽しみだったのでしょう。良い香りもふんわり漂い食欲がそそられます。
まずは全員に均等な量が配られましたが担任の寺奥先生が「増やしたい人!」と声をかけるとみんなおこわの器を持って並び始めました。
準備が整い、さっそく食べ始めます。ほとんどの子どもたちが、おこわから食べ始めました。
「おいしい!」「もちもち!」「もちの味がする!」と明るい声が聞こえてきます。勢いよく食べっぷりがいい子も、もち米を探しながら食べる子も、どの子も嬉しそうです。
「ここがもち米ってわかった!なんか食感が違う」と話しかけてくれる子もいました。普段食べているうるち米と、もち米の食感の違いを楽しんでいるようです。
「おこわ食べたことある?」と聞くと、ほとんどの子が首を横に振ります。赤飯もおこわに含まれるため、きっと食べたことはあるのでしょうが、おこわだと認識していない様子。今日食べたことで、おこわとは何かを学ぶ機会にもなったようです。
あっという間にみんな完食! 「どんな味がした?」と声をかけると「愛情の味がした」「努力の味がした!」など、実際の味に加えて、達成感を味わっていたようです。
いいことづくめの地産地消
食べている途中、栄養教諭の植田先生から地産地消についてのレクチャーもありました。食べている途中に聞くことで、よりダイレクトに響いたはず。
地産地消については5年生は知っていましたが、ここからさらに深掘りしていきます。「では、地産地消にはどんないいことがあるかな?」
「地域でどんなものが採れるか、住民に知ってもらえる」「安心感がある」「新鮮」などの回答が返ってきました。大事なポイントは子どもたちも理解しているようです。5年生が収穫したもち米も、みんなが育てたことを知っているからよりおいしく、安心して食べることができます。
加えて、植田先生から「輸送しなくて良いので環境にやさしい」、「地域の伝統的な食文化の継承」という利点についても紹介されました。
今回のように、地域で育ったものを自分たちで食べることは、食文化の継承になります。食文化とは、郷土料理だけでなく、この場所で育つ野菜や生活のあり方にまで影響するもの。例えばこの日、子どもたちが食べたもち米は、80年以上この地域で栽培されているたねを継承して育ててきたもの。子どもたちは、その食文化のつなぎ役になっているんです。
続いて、徳島県内で採れる作物について学びました。鳴門でレンコンが採れると聞くと「確かに〜見たことある!」と相槌がかえってくる一方で、隣の石井町でほうれん草が採れると聞くと「へぇ〜そうなんや!知らなかった」と反応。身近な地域でどんな野菜が採れているのか、意外と知らないものです。この機会に、徳島ではたくさんの野菜が収穫されていることを学びました。
最後に、担任の寺奥先生に今日の子どもたちの様子について聞いてみました。「5年生は、普段から残さずよく食べる子たちばかりです。ただ、今日はほとんどの子どもがすぐ食べ終わったり、いつも遅くまで食べている子も早く食べ終わっていました。自分たちで育てたことが食欲にもつながっているんでしょうね」。
自分たちが作ったという体験は、食に対してより前のめりにしてくれるのかもしれません。こんな風に少しでも自分たちや身近な人たちが育てた食材が給食に増え、「今日は〇〇さんの野菜があるから嬉しい」と子どもたちが給食を楽しみにする日が来ることを願いながら教室をあとにしました。
文・髙木晴香
写真・植田彰弘