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活動日誌Monthly News

「レトルト食品」について食品製造のプロに学んだ広野小×城西高校神山校レトルトカレープロジェクトVol.1

まちの食農教育では、レトルトの給食カレーを自分たちの手でつくることを目標に、広野小学校5・6年生と協働でプロジェクトをスタートしました。

このプロジェクトでは、全5回の授業のなかで、レトルトカレーとは何かを学び、実際にカレーを作り、パッケージ化、販売まで目指します。

一緒にレトルトカレーを作る仲間に出会う

6月24日(月)、これから一緒に商品開発をするメンバーが集まり、自己紹介をしました。まずは、まちの食農教育から樋口と杉山、そしてレポート担当の髙木。

また、今回のプロジェクトには心強い伴走者が!城西高校神山校の淺野絢美さん、土井あかりさんが小学生と一緒にこのプロジェクトを進めます。二人は、食農プロデュースコースに所属する2年生で、農業や野菜の調理や加工の技術を学んでいます。「どんな野菜を育てているんですか?」と興味津々の子どもたち。

淺野さん
土井さん

続いては、広野小学校の子どもたちが一人ずつ自己紹介。広野小学校でこれまで取り組んでいた農業の取り組みや地域とのつながりについて、振り返りながら紹介しました。

 5年生はこれまでにキュウリ・ピーマン・ナス、6年生はとうもろこし・枝豆を育てたり、もち米を栽培して「選ばれし神山のもち米」として商品化・販売したこともあります。

食べたことあるけど、意外と知らない。レトルト食品ってなんだ?

  お互いを知ったところで樋口よりクイズ。「給食のカレーとレトルトカレーの違いはなんでしょう?」。子どもたちは「レトルトカレーは温めるだけですぐに食べられる!」「レトルトカレーは長期間持つけど、学校のはすぐに腐る!」などテンポよく回答が飛び出てきました。

 「これからみんなでレトルトカレーを作って、パッケージや売り方を考えていきます」と、今回のプロジェクトを紹介。「なんかかっこいい」と呟く声も。身近な食品がどのように開発されて私たちの手元に届いているのか、そのプロセスを体感します。

今回は、食品産業の現場のプロフェッショナルからレトルト食品について学びます。教えてくれたのは、阿南市にある「タカラ食品株式会社」代表取締役の折野幹人さん。1970年に創業した同社は、栗やなると金時、ハモなどを使用した加工品を製造しています。

カレーをはじめ、トマトソースや中華料理の素などで登場するレトルト。実は、レトルト食品には「レトルト(高圧釜)により120℃・4分以上の高温・高圧で殺菌されたパウチ(袋状のもの)、または成形容器(トレー状など)に詰められたもの」という厳密な定義があります。

高圧釜の殺菌方法は、沸騰しただけでは死滅しない微生物を熱と圧力で効率良く殺菌し、内容物を熱により劣化させないために生み出された画期的な技術なのだとか。

 「このレトルトカレーを世界で初めて一般家庭向けに販売したのはどこでしょう?」ここで折野さんからクイズが出題。迷うことなく「大塚食品!」とさすが地元の子どもたち、ご名答!

最後に折野さんは「フードロス」についても紹介くださいました。今年、日本人の年間フードロスの量が過去最小の約472万トン(東京ドーム4.5個分)になりました。だんだん減ってきてはいるものの、世界で飢餓や食糧に困っている人への世界中からの支援はたった480万トンほどしかできていません。日本のフードロスだけで海外への食糧支援がまかなえてしまうほどのギャップがあるのが現状です。

また、フードロス削減のために野菜の端材を使用した商品などを紹介してくださいました。もしかしたら、レトルトカレーをつくる流れで子どもたちもフードロスについて考えるタイミングが出てくるかもしれません。

最後は、高校生が作った試作1号をみんなで味見!

レクチャーのあとは、淺野さんと土井さんが試作したレトルトカレー1号を先生含めみんなで試食!

 「言われなければ普通のカレーだと思うなぁ」「ちょっと味が薄い?」「もうちょっと具が大きい方がいいかも」と、給食のカレーの記憶を辿りながら感想を話す子どもたち。その言葉を高校生組は熱心に書き留めて改良に生かします。

 「柔らかいし具が小さいから、小さい子どもも食べられるね」という子どもの発言に感心する折野さんの姿。

 「次回の開催までに、給食でカレーが出てくるかな」と担任の先生たち。子どもたちが改めて給食のカレーを食べ、より鮮明な記憶からレトルトカレー作りに取り組めることを願ってこの日はお開きに。普段何気なく食べている給食には、子どもたちがおいしく食べられるような工夫が詰まっています。次回は、給食の献立を考えてくれている栄養教諭の植田先生をお招きして、実際にカレーを作ってみます!

この日はお土産に、レトルトカレー試作1号を子どもたちに持って帰ってもらい、家庭でもカレーを食べてもらうことになりました。みんなで力を合わせてつくる「常温で長期保存できる給食カレー」はどんな味になるのか。今後が楽しみです。

髙木晴香(文・写真)

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レポート小学校

この記事を書いた人:まちの食農教育 編集部

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