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活動日誌Monthly News

”種をつなぐ”5年生のお米づくり(2025年後編)

まちの食農教育の植田です。

神山町は5000本の桜が咲く町として知られ、3月末から4月上旬には多くの観光客が押し寄せます。この記事を書いている時はちょうど桜が散り始め。桜が散るといよいよお米づくりが間近に迫っているとワクワクとドキドキが入り混じる感覚になってきます。早いもので、田植えから10ヶ月が経ちました。
「毎日よく観察する」町内小学校5年生の田植え(前編)

神山町の5年生がどのような関わりを持って「お米づくり」に取り組んできたのか、種をつなぐお米づくりの後編をお届けします!


か弱い苗を“かんさつ”する


植え付け直後の苗は、冷たい水の中で新しい根を張る準備をしています。約1週間を目処に新根が出始め、黄色い葉も栄養を吸い上げ緑色に変化していきます。田植えから稲刈りまでの3ヶ月間はNPOスタッフが管理を行いました。田んぼと小学校は歩いて15分程度の距離で、児童が日常的な観察をおこなうには課題が残ります。

私たちは生長過程を写真とメッセージを通じて先生と共有し、対象学年の児童に届けてもらうようにしました。また通学路で毎日観察できる児童からも、生長の変化を教室で伝えてもらえたようです。



毎日の観察で意識したポイント

日々の管理で意識した点は3つ。田んぼの「水量・水温・雑草」
近年、異常気象(高温)で田んぼにも影響が見え始めています。普段、周辺の川から用水路を辿り、田んぼに水が流れてきます。水温は18-25℃を適温としてますが、用水を巡る最中、日光により水温が上昇し、田んぼにたどり着く手前で30℃まで上昇。日中の最高水温は42℃、手で触れる田んぼの水は「冷たくて気持ちいい!」と思えず、「暑くて触りたくない」というのが正直な感想です。こんな環境下でも植えた稲は分けつを繰り返し、最初3本だった茎数が35本まで増えました。



収穫して”あじわう”


酷暑を乗り越えた神山のお米、9月26日に収穫を迎えます。心待ちにしていた児童は朝からワクワクした表情で田んぼへ。ファームティーチャーである白桃農園の白桃薫さんから「収穫時の鎌の扱い方」「良い種籾の選び方」を学びます。「穂が垂れ下がって重量感のある稲が良い種だよ!」というお話から、約8畝の田んぼを33名の児童が思い思いに刈り取っていきます。ここで大切になるのが「種の選別」です。



1人3株を選び、思い思いの”種”と向き合い、次の学年に受け継がれます。
先生やNPO、農家が選ぶのではなく、子どもたちが自分の感覚で選ぶ。この工程が”種をつなぐ”上で一番大切になる指標の一つです。

収穫したもち米は、11月上旬に学校給食として提供され、2校全学年にもち米を味わってもらう機会に恵まれました。



神山の味を”とどける”


今年収穫したお米の全量は約170kg。2校の5年生にはそれぞれ15kgずつもち米を届けます。もち米は調理実習や、販売に使われ各校の先生と児童が相談して決めた内容に沿い、使用されました。15kgのもち米が入ったお米を児童一人一人に持ってもらうと、「思っていた以上に重い!」「自分たちで育てたお米だと嬉しい」「早く調理実習で食べてみたい!」など嬉しい反応が多く見受けられました。2025年度はもう一つ、チャレンジしたことがあります。それは「おかき」の製造。のちに「ヨゴレもちおかき」として、新しい神山の味となりうる商品が誕生の瞬間です。



児童や先生にも届け、児童がそれぞれの商品にイラストを施し、各家庭に持ち帰りプレゼントした模様です。もち米の生産量が減少傾向にあり、単価も向上する中で、もち米がもつ日常的な味へチャレンジできたことが大きなターニングポイントとなります。


想いを”つなぐ”


町内小学校の面白い取り組みに「種の引き継ぎ式」があります。5年生が選び抜いたもち米の種を4年生に受け継ぐ授業です。2校の児童・先生がそれぞれ考えに考え抜いたプログラムが行われ、4年生を対象にクイズ形式でお米づくりの工程を学んだり、お米づくりには体力が必要!と身体を使ったレクレーションを実施したり、お米ロードと題してサイコロゲームを作成したり、もち米収穫したお米を使ったおこわやお餅でもてなしたりと、まさにもち米づくしの式となります。1年間友達と一緒に学んだ取り組みを、丁寧に受け継ぐ姿勢や行動は「お米愛」を感じる素敵な時間となりました。


神山町でお米をつくるって?


昨今、お米に関して前向きな話題が多くありません。食への不安を掻き立てる価格上昇など「日本の主食」に翳りが見え始めたのも事実です。様々な情報が錯綜する中で、大人が発信する情報に左右されることなく、目の前で行われているお米づくりが「自分ごと」としてそれぞれの生活にどう結びついているか。

農家の苦労や、お米づくりが大変!ということを教えたいわけでもないし、かといって、お米づくりが楽しい!と楽観的に捉えられても少し違う気がしてます。ただ、様々な工程や役割の中で「わたしたちはこれならできる!」「もっとやってみたい!」と自分と田んぼが結びつく前向きな意志が見えると嬉しいな。と心の片隅に想いを馳せています。

2026年はどんなお米づくりになるのか。
今年出会う5年生と、こどもたちが主体になる取り組みとして見守っていきたいです。

※追記

今年度は育苗時に一回だけ消毒をしました。栽培期間中は、農薬・化学肥料不使用です。私たちは生きものや稲にとって心地よい圃場を育んでいく視点を大切にし、栽培中薬剤の使用を控えています。今後も、子どもたちと”どんな選択ができるか”を共有しながら、薬や肥料、圃場のあり方を探り、子どもたちが自分ごとになる田んぼを目指していきたいと願っています。

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お知らせレポート小学校

この記事を書いた人:ueta_akihiro