活動日誌Monthly News
土を見て、触れて、考える2日間

3月末、金子信博先生(農学博士|専門は、土壌生態学・森林生態学)が徳島に来られ、私たちもフィールドをご案内しながらご一緒する機会をいただきました。
この2日間で印象に残ったのは、土を手がかりにその土地の履歴や環境を読み取っていく、ということでした。そのプロセスが農業や食のあり方を捉え直す視点につながっていく。そんなふうに実感する時間でした。
私たちの活動において、「体験を通して理解する」ことは大切にしてきた要素の一つです。今回の機会は、わたしたち自身も体験理解の大切さを確かめる時間になりました。
まめのくぼの土を、観察する
2019年から、城西高校神山校が実習場所として活用しているフィールドを「まめのくぼ」と呼んでいます。在来小麦の栽培や石積みの実習に加え、有機JAS認証や徳島県の生物多様性認証制度にも取り組みながら、これからの農業のあり方を考える場として育ってきました。

当日は、不耕起栽培に関心のある生徒の案内でフィールドを巡りました。
昨年度に初めて取り組んだ米づくりの現場では、不耕起での稲作に関する具体的な助言をいただきながら、次年度に向けた実践のヒントを得る機会となりました。


在来小麦(神山小麦)の畑では、実際に土を掘り、その断面や手触りを観察しました。
土の中に含まれる水分量や有機物、色の違いから、その土地の履歴や水はけの状態を読み取ることができます。また、「降板層」と呼ばれる硬い土の層の存在から、かつて水田として利用されていた土地の特徴も見えてきました。
こうした観察からは、作物の生育環境や適応の様子を理解すると同時に、土地の条件に応じた作物選びの重要性も浮かび上がってきます。

さらに、不耕起のエリアとの比較を通して、土壌の状態や変化の違いを体感することができました。実際に手で触れ、観察しながら見立てを行う過程そのものに、学びの面白さがあります。
kidsガーデンで、土の下を想像する
小学校の前にあるkidsガーデンでも、土の変化が見えてきています。
メンバーの植田(スクールフードコーディネーター)が、日々手を入れ目をかけている畑。入ったときの足元の感触や、水分の保ち方が変わってきていることからも、土壌の状態が少しずつ整ってきていることが感じられます。
育っているライ麦は、ずいぶん生育差があり、土壌の水分量や環境の違いが関係しているのではないかと考えられます。そんなふうに、目に見えている地上の状態から、土の下を想像できると、畑に来るのが楽しくなってきませんか。
わたしは、見る視点を獲得できた瞬間から、目の前のものの見え方が変わる。そんな経験を重ねてきて、畑は格好のフィールドだと感じています。

気候の変化もあり、「これまで通り」が通用しない場面も増えています。その中で、作物とその周囲の環境との関係を丁寧に見ていくことが、実践の手がかりになっていくのだと、改めて感じた時間でした。
後ろに見えているライ麦は、このあと倒して、大豆を播種する予定です。
あめつち自然農園にて、不耕起のはじめの一歩を一緒に
金子先生の講演と実習が行われる、あめつち農園のフィールド(不耕起の畑と、これから転換していく畑)にもお邪魔しました。

土壌の団粒構造を測定するアプリ「Slakes」を用いて複数の土壌を比較したところ、不耕起の畑で良好な数値が確認されました。
翌日の講演会では、「地球の生物種の約59%が土壌に生息している」という話もあり、目に見えない土壌の生態系の豊かさと、その複雑な関係性について理解を深める機会となりました。

外から資材を投入して管理するのではなく、内側にある循環をどう育てていくかという視点は、私たちが神山で取り組んでいる実践とも重なります。
「地産地食」という考え方や、今年から始めた「たねのつなぎ手」の仕組みも、地域の中で循環をつくり、次の世代へとつないでいく取り組みの一つです。
今回の2日間は、そうした日々の実践をあらためて見つめ直し、土を起点に考える視点を深める機会となりました。
金子先生には、フィールドを見ていただきながらたっぷりと学びの時間をいただきました。
また、今回、貴重な学びの機会をつくってくれた浜口さん(あめつち自然農園)に、感謝いたします。
まめのくぼのフィールド見学にあたっては、神山校の先生にもご協力いただきました。
ありがとうございました!

photo : Akihiro UETA(あめつち自然農園を除く)