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良い種を残すことで、田んぼが元気になる

今年も「よごれもち」の種もみを採ることができました。
80年来、神山町の農家さんが受け継いできた「種」と向き合う日々は想像以上に責任を背負います。
「種が途絶えたらどうしよう」この気持ちは栽培期間中ずっと胸の中に渦巻いていました。人の手ではどうにも対処できない酷暑や風雨を除けば、人の手による「お世話」が重要になります。毎日何度も田んぼに出向き、水温や水量、稲の生育状況を細かく確認し、除草にも注力しました。
時間をかけて、ゆっくり登熟してほしいと願う中で、9月の長雨に見舞われた際には「早く収穫日を迎えてほしい」と揺れ動く気持ちの日々。気が休まらない5ヶ月を経て、無事収穫した田んぼを見て「やっと終わった…」と重責から解放された安堵は癖になるほど心地よいものでした。


私たちは、この種を2025年からお預かりし、町内の小学校に通う5年生を対象に学習機会をつくってきました。学習田としての取り組み自体は30年間続く活動になります。
塩水選で種を選別し、学校の敷地内で種まき(※種もみを蒔くこと)・育苗を経て、田植えを行う。授業で使う種は、上級生が育てたもち米から繋ぐことで、自然と種と向き合う時間が育まれていきます。
昨年、初めて塩水選を実施した際、浮遊する種の多さが印象に残りました。
沈んだ種(良い種もみ)はひと握りで、塩分濃度を下げて浮いた種を再選別し種まきをした結果、育苗も苦戦。出穂から稲刈り時には病気や虫害が広がり、心の中で「来年も塩水選で浮く種が多いな」と嘆いたことを忘れません。
一人ひとりの気づきや発見を大切にし田んぼとの接点を楽しんでもらいたい。
そう願いを込めて栽培管理をする中で、「良い種もみを残すこと」はその環境を育む上でも最低限必要な指標だと再認識しました。
良い種を残すことで、田んぼが元気になる。
適正な管理を行うことで、田んぼに棲む生物が多様になり、稲の成長にもいい循環が生まれるはずです。
今年の稲刈りでは、「良い種もみ」」を選ぶポイントとして大切にしたい三項目を伝えました。
「実の詰まった重い種を選ぶ」「穂が地面に届くぐらい垂れている稲穂を見つける」「太陽をたくさん浴びている箇所を探す」です。最後に、「自分たちが塩水選をした時、浮いた種と沈んだ種どちらが多い方がいい?」と質問しました。
現在の5年生が採った種は、4年生に受け継がれます。一年間の活動を通じ子どもたちの目線で感じたことを言葉にし、来年の活動につなげていきます。
学校生活の中で、相手を思いやり、渡す相手の喜ぶ姿を意識し、自分たちの体験を振り返りながら次の稲作に向けた「準備」を行うことはとても大切な視点だと改めて感じる機会となりました。
