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神領小学校1年生と高専1期生でつくる「やさいじん」後編
こんにちは、樋口です。
神山町内の学校における食農教育の取り組みを紹介します。
2023年度も多様な取り組みが展開しましたが、今回は神領小学校1年生の野菜づくりから続く、神山まるごと高専とのコラボ授業の様子をお届けします。
これまでのレポートは、以下からご覧ください。
レポート_01: おいしい野菜を育てよう
レポート_02: まるごと食堂に届けよう
レポート_03: やさいじん(前編)
※ 文中、神領小学校1年生を「1年生」、神山まるごと高専1期生を「1期生」と表します。
前回の記事では、1年生と1期生の「やさいじん」制作の様子をお伝えしました。今回は、その後の様子をレポートします。
「やさいじん」から生まれた手拭い
新井啓太さん(神山まるごと高専)が担当する授業「グラフィックデザイン」では、1年生に贈る手拭いのデザインを考えるという課題が出されていました。それぞれのチームで制作した「やさいじん」をデザインの要素として使うというもの。
・制作にはAdobeを使用
・1 年生が使うことを想定した手拭いを制作
・プリントした状態で完成
1月中旬、手拭いのコンペが開催されるという日に、授業を参観しました。
ズラッと並んだ手拭いは一つとして同じものがなく、はぁーこんなふうになるのかー! これってあの時の…!? などと小さな驚きと発見の連続。
新井さんが示した3つの観点に沿って、それぞれの作品にポイントを入れていく学生たち。ポイントの多かった手拭い15点が選ばれ、1年生にプレゼントされます。
この日はタイミングがよくて、そのまま1年生に届けるぞ!と、1期生3名で小学校へ。
1年生の名前を一人ずつ呼んで、手拭いを手渡す1期生。
作った人のコメントを伝えたり、使い方(頭の上に図柄が合うように)を示したり、一枚一枚に込められたメッセージを添えて。
畑の活動で使ってくれるとうれしいなぁ。
1年生からは「早口言葉」と「合奏」を聞かせてもらい(パワフルで一生懸命で最高!)、帰り道はその感想で持ちきりでした。
振り返り
1年生と1期生で「なにか楽しいこと」をする試み。美術を担当している新井さん、国語を担当している阪本さんからは、当初「表現」に関する様々なアイディアが出されていましたが(ワクワクするものばかり)、1年生の授業を参観したうえで、「やさいじん」に着地しました。
1年生にとっては、自分たちが育てた野菜。
1期生にとっては、給食で食べる野菜。
「野菜」が両者をつないでいる、というところが食農教育目線でも最高でした!
初対面の1年生と1期生がお互いの顔を見合う時間にもなり、
食べ物という役割を一旦横に置いて、この場で野菜はどんなはたらきをするのだろうか…と、ワクワクする時間でもありました。
1年生と1期生の手によってみるみる姿を変えていく野菜たち。
特に髪型パーツの野菜の使われ方、おもしろかったです。ほんとうに、いろんな表現がありますねぇ。
こんなふうに、間近にあるものの見方を変える経験や、個々の感覚を頼りに手を動かしつくる経験を通して、日常で目にする何気ない物事や事象への眼差しを磨いていけると良いなあと思います。
食べ物なので…つくった後食べ切ることまでやれるとまた違った味わいが生まれそう。
最後になりましたが、「なにか楽しいこと」から始まった企画から、こんなにも充実した時間を一緒につくってくださった新井さん、阪本さん、そして食堂チームの皆さん、ありがとうございました!
前段となる野菜づくりでは、Oronono松本さんたちの全面的なサポートがありました。おいしい野菜の恵みの賜物。
神領小学校の武市先生とは、これまでにも様々な活動をご一緒してきました。農体験と関連して、地域の人やものごとと子どもたちとのつながりを大切に授業設計されていることをいつも感じています。
今回も、これまでにない新しい組み合わせで活動できたこと、とても楽しく有意義な時間でした。
今回出会った1年生と1期生、まちの中で会った時には挨拶できるといいな。
つづく
photo : 植田 彰弘 , 新井 啓太(手拭い, 1年生訪問)
助成:日本財団