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活動日誌Monthly News

SFF2023レポート_01 概要「はじめに」

こんにちは。まちの食農教育 樋口です。

NPO法人まちの食農教育では、10月15日〜16日の2日間にわたり、第1回スクールフードフォーラムを開催しました。
多くの方にお越しいただき、1日目は90名近くの方々、2日目は70名を超える方々とご一緒することができました。オンラインで視聴いただいた方々も含めて、どうもありがとうございました。

2日間のフォーラムは私たちにとっても学びが多く、貴重な機会でした。今回の学びを咀嚼しつつ次の活動へつなげていきたいと思い、ホームページにも活動記録としてメンバーによるレポートをUPしていきます。


このページでは、フォーラムの全体の概要とポスターセッション、フィールドワーク&ランチ、そしてディナー交流会の様子を振り返ります。


オープニング


オープニングでは、ご一緒するみなさんの自己紹介から始まりました。
2日間を通して「slido」というプラットフォームを使い、講演やクロストークの最中にも皆さんからコメントや質問を受け付けられるように、また参加者同士も画面でコメントが見合えるようにしました。
入力されるコメントや質問にすべてお答えすることはできなかったのですが、振り返りのレポートのなかでお答えできるものについては回答していきます。


ポスターセッション

町内で活動する3団体(森の学校みっけ、城西高校神山校、神山まるごと高専)と、NPO法人こどもと農がつながる給食だんだんの取り組みを紹介していただきました。

森の学校みっけ

森の学校みっけは、2022年4月に神山町に開校したオルタナティブスクール。小学校1年生から6年生までの子どもたちが週5日、森の中にある学び舎へ通います。「地球と繋がる、いのちと繋がる、私と繋がる、人と繋がる、地域と繋がる」ことを大切に、子どもたちとの毎日が積み重ねられています。発表場所を彩っていたのは身近な場所で採れる草木。子どもたちの作品が並ぶブースは周囲の大人も興味しんしん。自分の言葉で「伝える」子どもたちの姿、その場にいた参加者に響いたようです。
森の学校みっけ

城西高等学校神山校(農業科)

2017年から「神山創造学」というオリジナルの科目を設定し、地域とともにある高校のあり方を探ってきた城西高校神山校。2019年には学科を再編し、学生寮には県外から入学を希望する生徒を受け入れています。地域創生類で入学した生徒は、2年次に環境デザインコースまたは食農プロデュースコースを選択し、より専門的な学びを深めます。この日はスダチソーセージの加工の様子や、森林女子部の活動について紹介されました。スクールフードフォーラムのオリジナルコースターも制作していただき、とてもうれしかったです! 
城西高等学校神山校

神山まるごと高専(保健体育/まるごとファームクラブ)

2023年4月に開校した神山まるごと高専からは、鈴木佑奈さん(保健体育担当)より「健康」をテーマに取り組んだ授業の様子を紹介いただきました。まるごと食堂のバランスガイド作成にも協力いただいた堤理恵さん(徳島大学 大学院医師薬学研究部講師/サントリー研究員)を講師にお招きした「世の中を健康にする会社をつくろう」というテーマの授業では、食の周辺にある課題感や世の中の動向に目を向けた多様なアイディアが出されていました。学生の有志が立ち上げたまるごとファームクラブからは、ポスターを制作、展示しました。
神山まるごと高専

NPO法人こどもと農がつながる給食だんだん

「NPO法人こどもと農がつながる給食だんだん」は、給食を提供する大人が食や食育を通して環境を守る行動をとり、学校給食をより豊かにし、子どもたちの健全な給食提供に寄与するようになることを目的に活動されています。フランスでオーガニック給食を実現したCPPフランスのチームとともに、調理師や栄養士を対象にした研修会を全国で開催し、オーガニック給食の普及活動を行っています。今回お越しいただいた大石真司さん(代表理事)は、高知県内の保育園や幼稚園、子ども園を中心に給食改善のサポートに取り組まれています。
NPO法人こどもと農がつながる給食だんだん


フィールドワーク&ランチ(A〜Cグループ)

フォーラム2日目は、屋外へ飛び出してフィールドワークへ。町内の3カ所のフィールドを探索した後は、それぞれの場所でランチを召し上がっていただきました。それぞれのフィールドの様子、紹介します。

A)オルタナティブスクール 森の学校みっけ

秋の爽やかな晴天の中、坂道を上ること15分。みっけの学び舎は森の中にあります。校舎を囲む木々の隙間から光が差し、子どもたちの走り回る姿が輝いていました。コンポストトイレや自分たちでつくった浄化槽など「循環」が体感できる学び舎です。食べものがどのようにつくられるかだけでなく、食べたものがどうなっていくのかが子どもたちの目に見えるのが特徴的。
校内を見学した後は昼食をいただきました。この日のメニューは「栗とさつまいもごはん」「モクズガニと冬瓜のお味噌汁」「そば米の甘辛だんご」。自分たちの畑でつくる野菜をはじめ、町内でとれた食材をふんだんに使ったごはん、森の中の空気のおいしさも相まっておかわりが進みました!

B)徳島県立城西高等学校神山校

城西高校神山校から徒歩10分弱の場所にある山の中のフィールド「まめのくぼ」に向かいました。
栽培や加工品の開発、種子を守るシードバンク、石積みの活動について生徒から説明を受けた後、フィールド内で栽培中の青唐辛子と周辺のスダチを収穫し、下山。
昼食は家庭科室で調理実習を。3年生の4名がリードし、開発中の「鶴田特製カレー(椎茸たっぷり)」、神山校や徳島県の食材をふんだんに使った「神山校産さつまいもサラダ」「ナスと豚肉のスダチ醤油炒め」「椎茸のチーズ焼き」を一緒に作って食べました。「神山町産ウメスカッシュ」は、歩いた後の体に沁みました…!この日収穫したスダチと青唐辛子を使った「スダチ胡椒(村瀬先生レシピ)」は、神山校プロデュースで近々商品化されるという噂も…! どうぞお楽しみに。

C)Oronono圃場見学と神山まるごと高専(Farmer’s Meeting と合流)

神山町の南東に位置する鬼籠野(おろの)で就農された松本さんの畑「Oronono」へ。多品目の野菜栽培を手掛ける松本さんから、この土地を選んだ背景や日々の苦労、そして挑戦について伺いました。このフィールドワークでは、アリス・ウォータース氏の来訪に合わせてフードハブ・プロジェクトが企画した「Farmer’s Meeting」に全国から集まった農家さん達も合流。畑を巡りながら、堆肥や出荷の仕方について活発な意見交換が繰り広げられました。
その後、待ちに待ったまるごと食堂へ!
午前中の高専での取組みをテーマにしたクロストークで説明を受けた、食材調達の流れや地域の農と食のつながりを、地産地食率ほぼ100%!の絶品給食を通して体感することができました。ちなみにこの日のメニューは「すだち鶏の唐揚げ」と「阿波美豚のルーローハン」。選ぶのに一苦労!した参加者の皆さんでしたが、満面の笑みで会話弾む食堂での様子をみる限り、どちらを選んでも大正解、大満足だったに違いありません。

ディナー交流会

順番が前後しますが、ここで1日目のプログラム終了後に開いた交流会の様子を。
交流会の会場「かま屋」では、神山町で採れる農産物や藻屑ガニのほか、徳島県内の食材をふんだんに使った料理を用意してもらいました。おいしい料理で、話がはずむはずむはずむ。
料理人のもぐさん(清水愛さん)をはじめとするかま屋メンバーのみなさん、ありがとうございました!

そして、食事の合間には、各地からご参加してくださった方々から活動紹介をしていただきました。キーワードは、食、農、子ども、地域。場所や内容は違えど近しいテーマで活動されている方々。今回の出会いをきっかけに、皆さんとつながりながら「School Food」について考え続けていきます。

クロージング

今回のフォーラムの企画を中心になって進めた理事 森山円香よりご挨拶。
2日間の司会を務めたのは、今年の4月から参画の新メンバー杉山和香奈でした。

5本のクロストークと基調講演、フィールドワークでの体験や参加者との交流を通してインプットの多い2日間でした。最後の最後、この時間は近くの方々とフォーラムの振り返りをしながら感想をシェアする時間を過ごしました。

初開催の School Food Forum 、みなさんのご協力のもと大きな事故や不安なく開催できたことに感謝いたします。

会場設営や受付、誘導についてはボランティア含む地域の方や友人知人らに多大なる協力をいただきました。現地開催とオンライン配信の併用プログラムだったのですが、音声チェックや配信にまつわる入念なリハーサル含めて神山つなぐ公社のメンバーに全面的にサポートいただきました。抜群の安定感で終日サポートいただけたことは、大きな安心につながりました。映像でも2日間密着撮影していただき、写真とあわせて記録が残る安心感。完成が楽しみです。

また、2日間を通して神山町農村環境改善センターに、2日目の会場運営については、神山まるごと高専のスタッフにご協力いただきました。駐車場の誘導や配信まで、手厚いサポートのおかげで滞りなく終了しました。

今回の経験を踏まえて、2年後はもう少し見通し持てるはず…です。

みなさん、また、お会いしましょう。

中村桂子さんを囲んで。

今回のフォーラムが、わたしたちNPOの学びや神山の現在地の共有に留まらず、参加者同士の交流機会、全国の食育・食農教育実践者とのつながり、給食にかかわるステイクホルダーとの連携、にも波及している気がしており、それはわたしたちが当初想像していたものよりはるかに大きな財産となって蓄積されていくものだと思っています。webにもその痕跡を記すべく、当団体のメンバーによる振り返り記事を順次掲載していきます。
フォーラムに参加された方も、たまたまご覧になった方も、これからの農と食、子どもたち、地域の給食について、ともに考えていければうれしく思います。

振り返りレポート

順次、公開していきます。

⚫︎ 基調講演「本当の生き方を探そうー食を基本に置いてー」中村桂子(JT生命誌研究館 名誉館長)

⚫︎ クロストーク① 地域ぐるみの食農教育「すべての学校をつなぐ農体験と給食」

⚫︎ クロストーク② 給食と教科学習の統合「栄養教諭とつくるおいしい・たのしい授業」

⚫︎ クロストーク③ 地産地食を実現する調達システム「スクール・フードコーディネーターと推進する学校食 〜神山まるごと高専を事例に〜」

⚫︎ クロストーク④ 地域で広がる学びと遊びの可能性「コミュニティが育まれていく体験のつくりかた」

⚫︎ クロストーク⑤ 農業と食とコミュニティ「給食の地産地食化のその先へ」

⚫︎ エディブル・スクールヤード創始者 アリス・ウォータース氏 スピーチ


主催:NPO法人まちの食農教育
後援:農林水産省、神山町教育委員会、神山つなぐ公社
助成:日本財団

カテゴリー
School Food Forum 2023レポート

この記事を書いた人:樋口 明日香(ひぐち)

徳島市出身。神奈川県で小学校教員として働いたあと2016年からフードハブ・プロジェクトに食育係として参画。2022年3月フードハブから独立し、現職。まちの小・中学校、高校、高専の食と農の取り組みにかかわりながら「みんなでつくる学校食」を進行中。 noteでは月1ペースで現在地を発信 ▶︎▶︎ https://note.com/shokuno_edu/