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活動日誌Monthly News

SFF2023レポート_03 クロストーク➀ 地域ぐるみの食農教育 ~すべての学校をつなぐ農体験と給食~



こんにちは。理事の須賀です。

スクールフードフォーラム5つのクロストークは、活動の拠点でもある神山町内の2つの小学校との実践を題材にしてスタートを切りました。NPO代表の樋口とともにご登壇いただいたのは、子どもたちと日々学びをともにしている神領小学校の武市由美先生、広野小学校の寺奥久滋先生、そして農家Orononoの松本直也さんです。

子どもたちへの眼差しが春の陽だまりのように温かい彼らの言葉にどうぞ耳を傾けていただき、土に触れる日常が当たり前になりつつある子どもたちのみずみずしい姿を思い浮かべていただけたらと思います。

(先生方については、2023年10月15日時点の役職名で表記しています)

これからの社会をつくる視点で捉える食農教育の可能性とは


前段として、本クロストークのモデレーターを務めた須賀より、ESDの観点で捉える食農教育について触れたいと思います。

ESDとは「持続可能な社会をつくるための教育」と呼ばれる教育枠組みです。この数年で改訂が行われた学習指導要領に「持続可能な社会の創り手」の育成が掲げられるようになり、学校教育現場でのESD実践が一つの課題になっています。またジャンルをまたいだ様々な事柄・事象の連関のなかで複雑に絡み合う現代の問題に対して、ものごとのつながりを意識させた学びが重要視されています。

私はESDを研究する立場から、「食」が持つ様々な領域—たとえば第一次産業や健康、医療といった産業分野、歴史や地理、生物、国語、数学などの教科―を横断的に扱える側面に着目し、これからの学びのひとつの手がかりになるではないかと考えてきました。

  1 誰にとっても身近な「食べる」という営み、「おいしい!」というプリミティブな感覚を

    入り口にすることで能動的な行動を生む気づきを得られやすいこと

  2 食農のつながりを理解することで自分自身と自然環境との接点を見出しやすいこと

  3 子どもたちが暮らす地域ごとの食材や食文化を学びの題材にできること

ESDのメガネをかけると、NPOが目指す教育実践にこんな可能性が見えてきます。


身体感覚を伴う実体験の積み重ねから、考えて、学んで、培われていく思考力や態度は、これからの社会を自らつくっていく力につながるのではないか? 

仮説を立てて、神山での食農教育を追っていきたいと思います。

様々な人達と手を携えて育んでいく活動


NPO法人まちの食農教育は、前身であるフードハブ・プロジェクトの食育部門での活動を深化、進化させていくべく、地域のサポートを受けて誕生しました。代表の樋口は、前身での活動時より農体験のコーディネーターや社会人講師として町内の学校にかかわり続けています。

先生方にNPOと協働する実践についてお話を伺う前に、“地域ぐるみの食農教育”のこれまでと現在地について樋口より解説させていただきました。



地域の学校との関係が生まれた背景には、教育を含めまちの仕組みを支えている神山町役場と神山つなぐ公社の取組みがありました。町内外でのスタディツアーや「みんなでごはん」という、学校の枠組みを越えて学校間で食事をご一緒する機会です。どんな学びを作っていきたいかについて先生方との発展的な議論があり、新しいものごとの構想、ひいてはそれらの実践につながっていきました。



神領小の武市先生とはこのスタディツアーでのご縁から、ずっとご一緒しています。

広野小は、神領小と合同で行っていたもち米づくりに加え、NPO設立準備中の2021年から大豆づくりでもかかわるようになりました。現在の教育長からの声がけがあり、まちの小学校両校で取組みを重ねていこうという動きの中で、先生方の「農体験をやってみたい」という声を受けて生まれた新しい活動です。

中学校では2022年から林業体験を始動。神山つなぐ公社のメンバーとともに企画から入り、生徒や先生方と手ごたえを共有しながら順調に継続しています。今年度は地域のNPO法人や高校と連携してすだちのことを学ぶ授業や収穫体験をコーディネートし、学校間の交流が生まれる活動が実現しています。

農業高校である城西高校神山校は「神山創造学」というオリジナルの授業がスタートすることにともない、社会人講師としてかかわり続けてきました。また今年度設立した神山まるごと高専とは給食の取組みで連携し、1期生が自発的に始めたファームクラブをサポートする役割を担っています。

私たちの活動の特長は「育てる、つくる、食べる、つなぐ」という流れを体験できることです。

「育てる」:種をつなぐところから育てる在来のもち米や大豆

「つくる」:果物から絵具をつくるワークショップや豆腐づくり

「食べる」:つくったものを食べるだけでなく、つくってもらったものを一緒に食べる機会

「つなぐ」:まちの資源、種、人と人・・・

この流れに意識を向けられるよう、体験に基づく学びの場をつくることを目指しています。

「畑のなかで食べる瞬間の子ども達の表情がものすごくいいんです。とびきりよくて、それを一度見たら、もうやめられないんです」と満面に笑みをたたえる樋口。

そんな幸せな活動現場を覗いてみましょう。


実践1 神領小学校 START with SOIL~土とともに成長する子どもたち


神領小学校・武市先生との取組みがスタートしたのは遡ること2017年。毎年4月に先生たちと年間計画を立て、協力してくださる農家や園芸家に相談して進めてきました。本実践の特色は、同じ1年生という学年で続けている取組みであること。地域の動きと歩幅を合わせながら取組みが少しずつ変化し、広がりを見せています。



「1年生は義務教育がはじまる土台作りの学年。五感を使った様々な経験を重ねることで1年生が秘めている可能性を伸ばしていきたい」と活動名に想いを込めた武市先生。子どもたちだけでなくかかわる大人たちみんなのワクワク感を大事にして進めてこられた7年間の活動を振り返っていただきました。


・・・・・
2017年 育てて、調理して、食べる

1学期に朝顔を育てる活動をしていた1年生が2学期を迎え、「野菜を冬につくることができるかな?」というテーマに向き合った初年度。子どもたちは「どうやったら冬でも野菜作れるんかな?」という疑問に「ビニールハウスだったら育つよ」と*白桃さんにアドバイスをもらい、ハウスでの冬野菜づくりに挑戦。比較するために露地でも小さな鉢植えにして試してみました。

初めて収穫した時の子ども達の嬉しそうな表情は忘れられません。収穫した野菜は、普段5・6年生しか入ることができない家庭科室で調理して野菜スープとおひたしをつくりました。給食では野菜を全く食べない男の子がむしゃむしゃとほおばる姿が印象的でした。
(*フードハブ・プロジェクト共同代表/農業長。神山町で代々「白桃農園」を営む)


2018-2020年 育てて、卸して、食べる@かま屋 ~食材生産者名に並ぶ「神領小学校産」~

**かま屋に卸すことにチャレンジした2年目。かま屋からファックスで発注を受けた野菜を、神領小からコンテナに入れてお届けし、野菜の代価を利用してかま屋でランチをいただくことができました。子ども達から「ほんまにお金ってもらえるんだ!」「いくらもろうたん?」という声があがりました。お客さんを意識して一生懸命育てて運んだ野菜を、調理してもらいお友達と一緒に味わう体験は、小さな消費者教育にもつながったと思います。
(**フードハブ・プロジェクトが「地産地食」を合言葉に運営するまちの食堂)

野菜作りの難しさを知った2019年。天候の影響もあり、せっかく作ったお野菜が虫たちに食べられてしまい、まさかの2度目の種まきに。自然の中で育てることは決して簡単ではなく根気強く、丁寧に、そして柔軟に対応しなければならないことを学びました。

この年もかま屋に野菜を卸し、***産食率(41.7%)を出してもらったことで、料理のなかに自分たちがつくったお野菜がどれくらい入っているか実感できた年でした。
(***「地域で育て、地域で食べる」割合)


――会場参加者からの質問:「産食率」について、子ども達はどのように理解し、反応しましたか?
パーセンテージについてまだ学んでいない1年生にもわかるよう「10個中の 4つ」といった伝え方をしたことに加え、食材生産者の一員として「神領小学校産」とメニューに記載いただいたことで、子どもたちの目に見える形で「地産地食」が持つ意味合いを理解できるよう工夫いただきました。


「食べる」ことについて考えさせられた2020年。コロナ禍で活動が制限され、給食の時間も黙食によりお友達と会話ができなかった子どもたち。畑で思いっきり収穫できることに喜びを爆発させていました。


2021年 育てて、卸して、食べる@給食センター ~先生、今日の給食ってなあに?~

取組みを発展させた2021年。「給食に出したら広野小の子どもたちにも、神山中のお兄ちゃんお姉ちゃんにも食べてもらえる!」という想いから、給食センターに野菜を卸すことになりました。1日1回は聞く子どもたちからの「先生、今日の給食ってなあに?」。子どもたちの学校生活において「給食」は重要事項です。

給食センターで元気なお野菜を使ってもらうために主体的に開いた作戦会議で「野菜に話しかけたらどうかな?」というアイデアを出した子どもたち。「僕たちが虫から守るから安心してね」や「もっと大きくなってね」など、率先して野菜と会話している姿が見られました。収穫したての新鮮な野菜を前に「すぐに食べて虫の気持ちになりたい!」「味見したい!」と、自分たちなりに作戦の答え合わせをしていました。大切に育てた野菜が、大好きな「給食」に登場することは大きな意味を持つことだったのではないでしょうか。


2022年 土をつくり、花を育てる

土づくりの原点に立ち返り、土壌をしっかり耕すことについて向き合った1年。次の1年生に朝顔の種を渡す取組みで、きれいなお花を咲かせるために肥料の活用を学びました。指導してくれたお花のプロである河野さんを「大変なことはなんですか?」「どんなお花が咲きますか?」と質問攻めに。河野さんが作ってくださった土で朝顔を育てるとたくさんのお花が咲き、葉っぱの多さや茎の太さが各段に違うことで、土づくりの重要性をあらためて学びました。


2023年 育てて、卸して、食べる@神山まるごと高専


まるごと高専1期生とのコラボがスタート。お野菜をまるごと食堂に届けようというプロジェクトを樋口さんのコーディネートのもと進めています。野菜を卸し、食堂で給食をいただき、その後もしかしたら高専生と一緒に授業も受けることができるかもしれません。
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農体験と一言で言っても多様で、子どもたちの数だけ発見がある現場の様子がうかがえました。お友達に話しかけるように豊かな心を持って野菜に向き合う姿から、生きているものを育てているという子どもたちの確かな感覚が伝わってくるようです。

<無事、野菜をまるごと食堂に届けて、デザインの授業に参加してきました!>
神領小学校1年生の野菜づくり_01「おいしいやさいをそだてよう」
神領小学校1年生の野菜づくり_02「まるごと食堂にとどけよう」
神領小学校1年生と高専1期生でつくる「やさいじん」前編
神領小学校1年生と高専1期生でつくる「やさいじん」後編


学びを支える農家の視点


神領小での子どもたちの農体験を支えるのは、神山町南東の鬼籠野地区の農家・Orononoの松本直也さん。フードハブ・プロジェクトで農業研修生として従事したのち2022年に独立しました。「子どもたちは、純粋にすごくかわいいです」。
子どもたちの目線に合わせた寄り添い方で農体験での学びを支える松本さんは、彼らの姿をどのように捉えているのでしょうか。お話を伺いました。


農業は体を使う仕事ですが、実はそれ以上に頭を使います。天候などの不確定要素が多く、これといった正解がないなかで試行錯誤しているので、毎日野菜たちを観察しながら、今起こっている事象を的確に捉え、仮説を立てて検証するといった一連の流れを繰り返しています。
農体験で野菜をつくることはもちろんですが、農家として実際に行っているこの問いを立てて考えていくプロセスを子どもたちと共有したいと思っています。


たとえば、野菜を観察して「病気になっちゃってるね」や「虫に食べられてしまってる!」と発見した事象に対して、まずは「どうしようか?」と子どもたちと一緒に考えます。そして仮説を立てて実践してみる。でも野菜が思うように育たないこともあります。その失敗もまた「どうしたら良かったか?」と振り返ることが大切なのではないでしょうか。


「子どもたちが、自分の頭で思考することを大事にしてかかわっていきたい」と松本さん。答えがないからこそ思考をフル回転させ考え続けることができる。畑は学びという宝物がちりばめられた探究フィールドであることを実感するお話でした。


実践2 広野小学校 Food Map~学年そして教科の垣根を越えて


次にご紹介するのは、広野小が学校全体で関わる食農の取組み「Food Map」です。取組みを牽引する寺奥先生より「Food Map」を支えているという3つの要素を踏まえて発表いただきました。
児童31人教員10人という小規模な広野小。山々に囲まれ、すぐそばに川が流れる自然豊かな学校で、子どもたちは元気いっぱいに様々な作物を育てています。


「NPOとの農体験、食育を通じて自分自身も変化している」と語る寺奥先生の発表からは、学年横断そして教科連携で取り組む食農教育の可能性とヒントが垣間見えました。



1 NPOと白桃農園とともに進める活動

社会科の学習と絡めてもち米づくりに取り組むのは5年生。前年度の5年生がつくったもみを引き継ぎ、良い種もみを選ぶための塩水選、そしてもみまきへ。神領小と一緒に田植えや稲刈りも行います。小規模な学校なので、他学年や他校との年間を通じた交流は、貴重でありがたい機会です。つくったもち米は家庭科の調理でも使い、学習発表会で保護者に販売するなど様々な学びに活かしています。僕もゼロから子どもたちと学ぶ1年でした。


大豆は、主に低学年が育てています。旧校舎の畑も使い贅沢に播いて広大な大豆畑にしているので、たっぷり実った年はたくさん収穫できます。


鹿が畑に食べに来て困ることもしばしば(写真左:収穫した後の大豆の茎を鹿に見立てている様子)。気が遠くなるような実の収穫作業も、子どもたちはペットボトルで叩くなど色々工夫して楽しんで取り組んでいます。
大豆栽培は3年生の国語科で「すがたを変える大豆」という授業につなげて、味噌づくりを行っています。僕にとっても人生初の味噌づくりでした。

先輩たちが昨年度つくった味噌を、畑で育てたキュウリにつけて試食することで今年の味づくりの参考にもしました。去年はかなり辛い味噌だったので、甘めの味噌にしていこうと決定。まだ熟成中なので来年のできあがりを子どもたちはとても楽しみにしています。

2023年は初の試みもスタート。神山校の協力のもと、大根を育てています。今後のことはまだ未定ですが、プロに近い高校生たちがサポートしてくれることがとても心強いですね。


2 地域の方にサポートいただいて取り組む活動


学校近くの阿川地区は梅がたくさん取れる地域です。今年は梅農家さんのところで梅の収穫をさせてもらいました。あくぬき、シロップづくり、梅干づくりに挑戦しています。去年の4年生の担任の先生が梅干づくりを始めてとても楽しそうだったので引き継ぎ、ノウハウを色々教えてもらいました。梅干づくりがプロの保護者にも協力いただいた取組みです。


広い学級園でもピーマンやナス、スイカやキュウリなど色々な野菜を育てています。子どもたちや担任の先生方が面倒を見るのはもろんですが、実は地域の方も通りすがりにお世話してくれているんですね。「そろそろもう収穫したほうがええよ」とか「あの水草取ったけんな」と、助けてもらっています。
地域の椎茸組合さんから菌床をもらい、校内でシイタケの栽培に挑戦した年もあります。日に日に大きくなっていくシイタケの姿がおもしろく、とてもよい経験になったのではないでしょうか。


3 学校の先生方との連携


最終的な学びのゴールにつなげていくうえで他の先生方の協力は欠かせません。

1・2年生は、収穫したさつまいもを観察し、図工の学習と関連づけて「おいもの絵」を描く学習をしました。3年生は大豆づくりの学習が国語科の勉強に、5年生は米づくりを社会科の学習や家庭科の調理にもつなげながら、活動を進めています。

また今年多くの大豆が鹿に食べられてしまった際、残りの大豆を救うために、先生方が学校にあるものを使って迅速にネットを立て応急処置してくれました。先生方の意識が子どもたちの農体験に向いていることでこうした協力が自然に行われているように思います。


――会場参加者からの質問:学習指導要領の枠組みがある中で、このような取組みに時間を割くことは難しいのではないか?
しなくてはならないことが増えている今の教育現場では、工夫が必要だと思います。大豆づくりを国語科とつなげているように、教科との関連付けを念頭に既存の学習に組み込んでいく検討や、学校裁量で年間計画を組みやすい総合的な学習の時間を有効活用しています。また子どもたちは休み時間を利用して、積極的に畑の様子を見に行っていますね。彼らにとって休み時間に遊ぶのも野菜を育てるのも同じように楽しんでいて、自然と学びになっているようです。


上級生から下級生へ。先生から他の先生へ。学校内で渡されていくバトンが、きっとこれからもつながれていくーそんな様子を想像しました。学校間や学年の垣根を越えた交流で実現する体験が、地域の方達やその後の教科学習を担う先生方により支えられていることがわかり、地域に開かれた学びの可能性を示唆する実践に感じています。

答えを急がずに、ともに学ぶ。ともに育つ。


2校の実践から聞こえてきた、畑に立つ小さなつくり手たちの感受性豊かな言葉や気づきに、あらためてハっとさせられています。先生やかかわる人たちが一緒に体験し、考え、学び、成長する。すぐに答えが出ないこともモヤモヤも楽しんでいく。実は先生も正解を知らないのだから。指導者と学習者という関係値はあるものの、食農教育を通じた学びの場ではかかわる人たちみんなで学び合い、育っていくという側面があるのではないかと思います。


武市先生:子どもたちから多くのことを学んでいます。子どもたちがわからないことに直面したときには、まず自分たちで考え、それができなかったら教師に、そして農体験を通じて出会えた神山の名人に聞いてみようといった行動ができるように思います。

寺奥先生:彼らは子どもという名の先生ですね!「今年は何をつくりますか?」と問われ、どうしようかな、とアタフタしていると経験を積んだ子どもたちから率先して「先生、今年はスイカを作りましょう!」と提案してくれます。そんな彼らに教わることばかりです笑

松本さん:農業を始めたころは、答えを早く出したくて行動して、想定していたことと違う結果になることが多かったです。そのようなことを受け入れながら農業に向き合うことが少しずつできるようになりました。子どもたちに「こうだから、こうなるね」と言うことは簡単ですが、一緒にじっくり考えていきたいですね。


培われていく力


――身体感覚を伴う実体験の積み重ねから、考えて、学んで、培われていく思考力や態度が、これからの社会を自らつくっていく力につながるのではないか?

本レポートの冒頭で触れた仮説です。
私たちもまた、答えを急がず、子どもたちや先生方と実践していきながらじっくり学んでいく途上にありますが、先入観なく小さな変化に気づいて臆することなく言葉にする様子に、好奇心旺盛に「なんでだろう?」とたくさんのハテナを抱えて泥んこまみれになっている姿に、頼もしさを感じています。


フラットに観察する力や問う力はやがて、社会のあらゆるものごとのつながりを理解し、社会を体系的に見渡す力へとつながっていくのではないでしょうか。

苗を植える時に「野菜の種類によって根が違うね」と気づいた子がいました。葉っぱや茎に目がいきがちですが、その子は土の中に入ってしまう根に着目して「ここが違うね!」と観察する様子に驚きました。自分自身も農業を続けるなかで俯瞰的にものごとを見る眼を養いたいと、子どもたちから刺激を受けています。

松本さんが話してくれたこのエピソードに、そんな子どもたちの未来像を描いてやみません。

「学校食」による学びの往還~おいしいが続く未来をつくる担い手に~


試行錯誤しながら地道に続けている活動を踏まえて、私たちは子どもたちの学びが見えやすくなるNPOオリジナルのモノサシを設計したいと構想中です。土に触れる体験に基づく学びが、学びのプロセスをより鮮明なものにしてくれると考えるからです。

健康なからだをつくる食べ方を知る

食のつくり手と交流する

土に触れて、“つくる”を知る

食農の営みとのつながりを体感する

地域の風土、食文化を理解する

食の循環やしくみを体系的に捉える

自然環境を大切にする姿勢を持つ


こうした階段をのぼったりおりたりする体験や得た知識を応用していく過程で、自分だけでなく他者や社会のために新たな価値提案ができる資質が備わっていくことを期待しています。

「“おいしい”に能動的にかかわる子どもたち」は、「”おいしい“が続く未来をつくる担い手」と言い換えられるのではないでしょうか。

”おいしい“が続く未来をつくるには?―
探究し甲斐のあるこのテーマに、子どもたちや先生方、まちの人たちとともに向き合い、これからも地道に活動を前進させていきたいと思います。
この鍵が、私たちが進めていく食農教育に隠されていると信じて。


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photo : 植田 彰弘

主催:NPO法人まちの食農教育

後援:農林水産省、神山町教育委員会、神山つなぐ公社

助成:日本財団

カテゴリー
School Food Forum 2023レポート

この記事を書いた人:まちの食農教育 編集部

体験を通して身近な自然や社会を学ぶ、まちぐるみの食農プログラムの様子をお届けします。イベントのレポートやお知らせなども発信中!